おうちで生物多様性

都市のベランダ・庭に生き物を呼ぶ 色と形に注目した植物の選び方

Tags: 生物多様性, ベランダガーデニング, 植物選び, 都市の生き物, 初心者向け

都市のベランダ・庭で生物多様性を育む

都市における生物多様性の低下は、私たちの身近な環境に様々な影響を与えています。公園や自然の多い場所が少ない都市部では、限られたスペースであるベランダや庭が、小さな生物たちの貴重な生息場所や休憩場所となり得ます。ご自宅のベランダや庭で少し工夫を凝らすだけで、チョウやハチ、様々な昆虫、小さな鳥など、都市の生物多様性を支える一員となることができます。

本記事では、特にガーデニング経験が少ない方や、ベランダのような狭いスペースでの実践を考えている方に向けて、植物の「色」と「形」に注目した、手軽に始められる生物多様性ガーデンの作り方をご紹介します。特定の植物を植えることで、どのような生き物が集まりやすいのか、その理由も含めて具体的に解説します。

なぜ植物の「色」と「形」が生き物を招くのか

植物は、多くの場合、花の色や形、香りを変化させることで、特定の生き物(特に昆虫や鳥などの送粉者)を惹きつけ、受粉を助けてもらっています。生き物側も、特定の色の花や特定の形の花に蜜や花粉があることを記憶し、効率よく食料を得ようとします。この植物と生き物の間の特別な関係を利用することで、私たちのベランダや庭に多様な生き物を招くことができるのです。

例えば、

これらの特性を理解し、意図的に様々な色や形の植物を組み合わせることで、より多くの種類の生き物を呼び寄せることが可能になります。

都市のベランダ・庭に招きたい生き物と植物の選び方

ベランダや庭に招きたい代表的な生き物には、チョウ、ハチ(ミツバチやマルハナバチ)、アブやハエの仲間、テントウムシなどの益虫、そして小さな鳥などがいます。それぞれの生き物がある程度好む植物の色や形、特徴があります。

ここでは、初心者の方でも比較的育てやすく、都市環境で入手しやすい植物を中心に、いくつか具体例を挙げます。

チョウやハチを招く植物

夜の生き物(ガなど)を招く植物

鳥を招く植物

鳥は花の色だけでなく、実や種子、植物にとまる場所そのものも利用します。

初心者でもできる実践ステップ

  1. スペースの確認と計画: ベランダの日当たりや風通しを確認します。どのくらいの広さで、どんな植物を置けるかイメージしましょう。
  2. 植物の選定: 上記のリストなどを参考に、惹きつけたい生き物や育てやすさで植物を選びます。最初は2〜3種類から始めるのがおすすめです。近隣の園芸店で相談するのも良いでしょう。地域にあった植物を知ることができます。
  3. 必要なものの準備: 鉢(スリット鉢は根張りが良い)、植物用の土、鉢底石、ジョウロ、簡単なスコップなどを揃えます。100円ショップやホームセンターで手軽に入手できます。
  4. 植え付け: 鉢底石を敷き、土を入れ、苗を植え付けます。購入した苗ポットよりも一回り大きな鉢を選ぶと、根がしっかり張ります。
  5. 日々の管理: 基本的な水やり、適切な場所に置くこと(日向を好むか日陰を好むかなど、植物によります)を行います。慣れてきたら、月に一度程度の液肥を与えるとさらに元気に育ちます。

成功のためのポイントと読者が抱きがちな懸念への対応

まとめ

都市のベランダや庭で植物を育てることは、単なる趣味としてだけでなく、失われつつある都市の生物多様性を回復させ、豊かな生態系を身近に感じられる素晴らしい取り組みです。特に植物の色や形に注目して選ぶことは、初心者の方でも目的意識を持って植物を選べる具体的な手がかりとなります。

小さなスペースでも、様々な色や形の植物を配置することで、思いがけない生き物との出会いが生まれるかもしれません。ぜひ、ご自宅のベランダや庭を、都市の小さな生物多様性の拠点に育ててみてください。